電話でのお問い合わせ(☎06-6809-2755)
帰化申請の生計の概要(その1、その2)の書き方について徹底解説
帰化申請をするためには多くの書類を収集・作成し、住所地を管轄する法務局に提出しなければなりません。
帰化申請の手続きを行うためには、「帰化許可申請書」「親族の概要」等、の書類を作成することになりますが、「生計の概要」も記載した書面も必ず提出しなければなりません。
そこで、今回は「生計の概要」を記載した書面について考えていきたいと思います。
帰化申請を検討している方の参考になれば幸いです。
「帰化許可申請書」「親族の概要」の書類については、以下の記事で詳しく解説しています。↓
帰化申請の生計の概要とは?
帰化申請に必要となる「生計の概要」とは、国籍法施行規則第2条を根拠として、帰化申請をする際に住所地を管轄する法務局又は地方法務局に対して提出しなければならない書類です。
そのため、「生計の概要」とは、国籍法施行規則第2条に規定されている「帰化の許否に関し参考となるべき事項」となる書類になるため、帰化申請の手続きを行う上で、重要な参考書類となります。
生計の概要(その1)について
「生計の概要」を記載する書面には「その1」と「その2」があり、合計2枚作成することになります。
まずは、以下で「生計の概要(その1)」について解説していきます。
生計の概要(その1)を作成する際の注意点
「生計の概要」の書面を作成する際に注意すべき点があるので、まずは注意点について解説をしていきます。
世帯(同居)の親族などを含めて作成すること
「生計の概要」を記載する書面は、同居している家族などを含めた1ヶ月の収支状況を記載しなければなりません。
独身一人暮らしの場合は、帰化申請する申請者の収支のみを記載すれば良いですが、例えば、結婚していて妻(夫)と生活しているようなケースでは、妻(夫)の収支について合算して記載しなければなりません。
また、父母と同居しているが、「世帯分離」をしていて、住民票上は世帯が別になっている場合でも、同居しているとみなされるため、同居している家族全員の収支を記載する必要があります。
この世帯とは、「同居」のことを指していますので、例えば、内縁の妻(夫)がいるようなケースでも、当然収支を合算して記載することになります。
まとめると、以下のようなケースでは、同居人全員の収支を合算する必要があります。(世帯分離しているケースも含む。)
・妻(夫)と生活している場合
・父母と同居している場合
・その他、同居人がいる場合
帰化申請1か月前の収入を記載すること
「生計の概要」を記載する書面には、原則、帰化申請1ヶ月前の月収や支出の明細を記載しなければなりません。
また、帰化申請をする際には、「在勤及び給与証明書」という書類も提出する必要があります。
この「在勤及び給与証明書」は、雇用されている会社に記載してもらう必要があり、この証明日の給与証明と「生計の概要」を記載する書面で記載する月収が一致する必要があります。
そのため、帰化申請の準備を早く進めていたため、「在勤及び給与証明書」の証明日が半年前のものになってしまうと、「生計の概要」を記載する書面の月収もその時の月収となるため、再度「在勤及び給与証明書」を取り直して、直近1ヶ月前のものに修正しなければならないので、計画的に収集及び作成をしていく必要があります。
月収は手取り額を記載すること
「生計の概要」を記載する書面で記載する月収(給与等)は、額面給与ではなく、実際の手取り額で記載することになります。
そのため、「年金」や「健康保険」等の社会保険等の金額が控除されている手取り額を記載していきます。
また、端数は切り捨てて、記載ます。
生計の概要の書き方(その1)
上記で簡単に注意点を解説してきたのところで、以下では「生計の概要(その1)」の書き方(記載例)について解説していきます。
日付
①日付
「生計の概要」を作成した作成日を記載します。
原則、帰化申請をする、直近1ヶ月前の収支の内容等を記載していきます。
収入
②収入
ここでは、帰化申請者本人を含め、同居人の収入について記載していきます。
注意点は以下のポイントです。
氏名
収入がある者の氏名をフルネームで記載していきます。
この氏名はアルファベットは使用できないため、英語表記の方はカタカナ表記で記載しなければなりません。
また、簡体字も使用できないので、日本で使用されている常用漢字に修正して記載する必要があります。
同じ人物で複数収入がある場合は、氏名の欄に「同上」等で記載しても問題ありません。
月収(円)
単位は(円)で記載する必要があります。
また、ここでの月収とは帰化申請予定日の前月分の月収を「手取り額」で記載する必要があります。
端数が出る場合は100の位までを切り捨てて記載することになります。
個人事業主の方の場合は、確定申告書の所得金額や課税証明書等を参考に、月の月収を記載します。
種目
種目には、収入の種類と収入を得ている会社名等を記載します。
また、個人事業主の方の場合や、不動産収入等がある場合は、「事業収入」と記載します。
給与収入や事業収入以外の収入がある場合も、その内容を記載します。
(例:児童手当や年金等)
例えば、児童手当を得ている場合は、「振込先名義人の氏名」「毎月の児童手当の額(3ヶ月ごとに振り込まれている場合等は、1か月分の金額を記載)「種目には児童手当」等と記載します。
備考
備考欄には、会社で働き始めた日(入社日)を記載します。
また、個人事業主の場合は、「開業届」を税務署に提出した日を記載し、会社代表者の場合は、「法人登記事項証明書」の設立日を参考に、記載します。
合計
上記で記載した「月収(円)」の総合計額を記載します。
支出
ここでは、世帯(同居者全員)の支出について記載していきます。
③支出
ここでは、上記②の収入を得た月に該当する月の支出について記載していきます。
支出科目
項目ごとの支出科目を記載していきます。
「食費」「住居費」「教育費」「返済金」「生命保険等掛金」「預貯金」「その他」の項目を記載します。
賃貸の場合の住居費には「管理費等」も含めて金額を記載します。
その他の科目には「水道光熱費」「医療費」「交際費」等を記載します。
金額(円)
各項目の支出額を記載していきます。
なお、単位は上述した収入と同様に(円)で記載します。
また、この支出科目の合計欄の金額と、上記②で記載した収入の合計欄の金額が当然一致しなければならないので、間違えないように注意が必要です。
備考
備考欄には、住居費の場合には「管理費等を含む」ことや、その他科目の欄での、支出の詳細を記載していきます。
主な負債
④主な負債
ここでは、主な負債(借金やローン)について記載していきます。
住宅ローン等の借金がある方が帰化申請を検討している場合は、以下の記事も参考にしてください。↓
借入の目的
借金等がある場合は、借入をした目的について記載していきます。
例えば、住宅を購入するために借り入れた場合は「住宅購入」、自動車を購入するために借り入れをした場合は「自動車購入」等と記載します。
借入先
上記借入の目的を記載した借入をした借入先を記載します。
例えば、銀行から借り入れをした場合は「〇〇銀行〇〇支店」等と記載します。
残額
当該「生計の概要」を作成した時点での借入金の残額を記載します。
完済予定
上記で記載した借入の返済予定日を記載します。
返済予定日については、借入先から定期的に送られてくる返済予定表等を参考に記載していきます。
生計の概要(その1)の記入例
上記の内容を考慮して、「生計の概要(その1)」の記載例を以下に掲載しておきます。↓
生計の概要(その2)を作成する際の注意点
「生計の概要(その2)」には、世帯(同居人)の資産(不動産、預貯金、株券・社債等、高価な動産)等を記載していきます。
「生計の概要(その2)」を作成する際に注意したいポイントは以下のとおりです。
不動産は海外の不動産も記載
不動産は日本で所有している不動産だけではなく、海外で所有している不動産も正確に記載する必要があります。
高価な動産は100万円以上のものを記載
動産とは「不動産」以外で所有しているものを記載します。
例えば、「自動車」「貴金属」等が考えられます。
また、ここでいう「高価な動産」は100万円以上の価値があるものを記載するため、少額なものは記載しなくても問題ありません。
生計の概要(その2)の書き方
上記で簡単に注意点を解説してきたのところで、以下では「生計の概要(その2)」の書き方(記載例)について解説していきます。
不動産
①不動産
ここでは所有している不動産について記載していきます。
日本で所有している不動産を記載する場合は、法務局で不動産の登記事項証明書を取得することができるので、その書類を参考に記載していきます。
種類
不動産の種類を記載します。
不動産の登記事項証明書に「種類」や「構造」等が記載されているので、そちらを参考に記載していきます。
面積
不動産の面積を記載していきます。
こちらも不動産の登記事項証明書に面積が記載されているので、そちらをさに酷に記載していきます。
戸建て等の場合は、土地・建物両方の登記事項証明書を取得して記載していきます。
時価額
おおよその不動産の価格を記載していきます。
役所から送付される「固定資産証明書」等を参考に時価額を記載していきます。
名義人
記載した不動産の名義人を記載していきます。
こちらも、不動産の登記事項証明書を参考に記載します。
なお、共有している場合等は、共有者の持ち分も併せて記載します。
預貯金
②預貯金
ここでは、世帯(同居者)全員の預貯金を記載していきます。
預入先
金融機関に預けている預貯金の金額を記載していきます。
預入先金融機関名及び支店名を記載していきます。
最近は、銀行口座の通帳のコピーの提出等も求められることが多いため、作成日時点のものを正確に記載していきます。
名義人
金融機関の預貯金口座等を持っている名義人をフルネームで記載していきます。
金額(円)
預貯金残高を銀行口座の通帳等を参考に記載していきます。
ここでも単位は(円)ですので、間違えないように注意が必要です。
株券・社債等
③株券・社債等
ここでは世帯(同居者)全員が所有している「株券」「社債」等を記載していきます。
種類
「株券」「社債」等の種類を記載し、保有している株式数や社債の数を記載していきます。
所有している「株券」等の合計の株式数等を記載すればよいため、所有している株式の企業名等の具体的な名称までは記載する必要はありません。
また、ゴルフ会員券を保有している場合は、こちらに記載していきます。
評価額
所有している「株券」「社債」等のおおよその時価額を記載していきます。
ネットで証券口座等を解説している場合は、アプリ等で現在の時価額等が確認できるので、参照にしながら記載していきます。
名義人等
所有している「株券」「社債」等をの名義人をフルネームで記載していきます。
高価な動産
④高価な動産
ここでは高価な動産について記載していきます。
動産とは「不動産以外」のものになるため、不動産以外で高価な物を所有している場合は記載していきます。
種類
時価額が100万円以上の動産について記載していくことになります。
例えば、「貴金属」「自動車」などが該当します。
なお、自動車の場合は、所有している自動車の型式等も記載しなければなりません。
評価額
おおよその時価額を記載していきます。
名義人
自動車の場合は、所有者の名義人名をフルネームで記載していきます。
貴金属等の場合は、所有者の名前をフルネームで記載していきます。
生計の概要(その2)の記入例
上記の内容を考慮して、「生計の概要(その2)」の記入例を以下に掲載しておきます。↓
生計の概要に記載する預貯金額が少ない場合でも帰化できる?
「生計の概要に記載する預貯金等が少ない場合は帰化申請は難しいですか?」という質問をよく受けます。
結論として、「預貯金額は大いに越したことはないですが、少なくても帰化できる可能性はあります。」
帰化申請をするための「生計要件」で最も重要視されることは、安定した収入を得ているかどうか?という部分です。
そのため、会社員等で安定した給与を毎月確保しており、自身の収入と支出の割合が適切であれば、「生計要件」はクリアできる可能性が高くなります。
そのため、無職であったり、アルバイトで収入が不安定だったりといった場合は、預貯金が多くても不許可にされる可能性があります。
まとめ
今回は帰化申請の手続きで必要になる「生計の概要」について考えてきました。
帰化申請をするためには「生計の概要」以外にも多くの書類の収集・作成をしなければなりません。
そのため、帰化申請の手続きをするまでには多くの時間が必要になります。
効率的に帰化申請の手続きを行うためには専門家である行政書士に相談する方法も有効な選択肢の1つです。
帰化申請を検討している方は、ぜひ一度行政書士に相談してみてください。
きっと力になってくれるはずです。
今回の記事が帰化申請を検討している方の参考になれば幸いです。
以下の記事もよく読まれています。↓