帰化申請の根拠となる法律。国籍法と帰化の関係について


帰化申請をするには、法務局(国籍課)へ必要書類を提出しなければなりません。
帰化申請ももちろんですが、永住権等の在留資格の申請・古物商等を行う場合に必要となる古物商許可申請などの許認可申請は、根拠となる法律に基づいて行われます。
在留資格については出入国管理及び難民認定法
古物商許可については古物営業法
などの法律に根拠が規定されています。

そして、帰化申請については国籍法に根拠が規定されています。
今回は、帰化申請について規定されている国籍法について考えていきます。

帰化申請を考えるにあたっての基本になる事項ですので、帰化申請をご検討中の方は参考にしてみてください。

目次

国籍法とは?

国籍法とは、日本の国籍取得喪失について規定している法律になります。
帰化申請についても、国籍法に規定されています。

国籍法四条に帰化申請について規定

帰化については国籍法第四条によって以下のように規定されています。

1、日本国民でない者は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。

2、帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

その上で、帰化の許可決定者法務大臣であるとされています。

帰化の許可は法務大臣の裁量が大きく反映される

法律用語では届出・許可・特許のように異なる名称があります。
帰化許可申請は、許可という名称ではありますが、法律用語では特許なので法務大臣の裁量大きく反映されることになります。
つまり通常の許可とは違い、単純に帰化申請をするための要件を満たしているだけでは、帰化の許可がおりないということも起こることになります。
届出・許可・特許についての詳細はこちらをご覧下さい↓

帰化申請の要件(条件)も国籍法に規定

帰化の種類には、通帰化簡易帰化大帰化といった種類に区分されています。
この要件(条件)の根拠については国籍法の第五条以下で規定されています。

普通帰化について

普通帰化については国籍法第五条で規定されています。

国籍法第五条

  • 第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
  • 一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
  • 二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
  • 三 素行が善良であること。
  • 四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
  • 五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
  • 六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

上記規定が普通帰化の要件(条件)の根拠となっております。
帰化申請をする時に、居住要件生計要件思想要件などと言われているものが、上記規定になります。
帰化申請をする時には、まず上記要件を満たしているのか?ということを考えていく必要があります。

ただし、法務大臣は帰化の許可をすることができない。と規定されており、許可しなければならない。と規定されていないことに注意が必要です。

帰化申請は、上述した通り「許可」ではなく「特許」ですので、法務大臣の裁量が大きく影響します。
つまり、帰化するための要件(条件)を満たしていても不許可になる可能性があるということは、上記国籍法の「許可することができない」という条文から理解することができます。

簡易帰化について

簡易帰化については国籍法第六条から第八条で規定されています。

国籍法第六条から八条

  • 第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
  • 一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
  • 二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
  • 三 引き続き十年以上日本に居所を有する者
  • 第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
  • 第八条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
  • 一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
  • 二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
  • 三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
  • 四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの

上記規定が簡易帰化の要件(条件)の根拠になっています。
例えば、特別永住者の方や、日本人と結婚している外国人の方などが居住要件などが緩和されるといった根拠は、上記規定から判断することができます。

大帰化について

大帰化については国籍法第九条に規定されています。

国籍法第九条

  • 第九条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。

と規定されています。
ただし、外国国籍の方が帰化申請をする場合は、普通帰化か簡易帰化のどちらかで帰化申請をすることになりますので、大帰化については考えなくても問題はありません

まとめ

帰化申請をする場合には、要件などを満たす必要があります。
国籍法によって帰化申請の根拠が規定されています。
行政などに申請をする時には、その根拠となる法律を理解することが大切です。
帰化申請を検討している方は、国籍法を一読してみてもいいかもしれません。

今回は国籍法と帰化の関係について書いてきました。
皆様の参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

大阪市中央区で行政書士法人を経営し、帰化申請等の外国籍の方の手続きに精通し、多くの実績・経験・専門性を持っています。

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