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帰化許可の決定は法律用語で特許。届出、許可の意味との違いは?
帰化をするには、法務局へ帰化申請を行い、法務大臣から帰化の許可を受けることで日本国籍を取得することになります。
日常生活でも「許可」という言葉を良く耳にすることがありますが、帰化の許可は厳密に言うと許可ではなく、特許と呼ばれるものになります。
行政等に申請をすることを、法律的には届出・許可・特許という名称で呼ばれることになります。
今回は、法律用語である届出・許可・特許の意味を考えていきます。
少しややこしいですが、知っていれば今後行政手続きをする時の役に立つことがあるかもしれません。
また、帰化申請を検討している方にとっては、知っておくべきことだと思いますので、一度目を通してもらえればと思います。
届出の意味
届出の定義
行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、法令により直接当該通知が義務付けられているものをいう。と定義されています。
届出を簡単にまとめると、行政側に「こんなことをやりますよ。」と書類を提出すればそれで終わりで、行政からの返事を待たなくても良いということです。
つまり、届出はその届出が行政側に到達したことで、完了し返事を待つ必要はないということになります。
ただし、届出に不備があれば再提出を求められますし、届出をした後に現地調査が入り届出の内容と異なっていた場合は、届出が取消されることもあります。
届出の具体例
深夜種類飲食店営業の届出(店舗の所在地を管轄する警察署)
許可の意味
許可の定義
一般的な禁止を解除する行為と定義されています。
許可を簡単にまとめると、本来自由にできることに対して、公共の安全や秩序の維持など、公益の理由から、法令により禁止されているものをできるようにするために、行政に申請することでその禁止されていることができるようになることをいいます。
例えば、憲法22条において国民は職業選択の自由が認められています。
この立場で考えると、飲食店を誰でも自由に開業することができるはずです。
しかし、実際には食中毒などの衛生上の観点から、飲食店を開業するためには所在地を管轄する保健所などから営業の許可を取得しなければなりません。
許可を取得することで、勝手に飲食店を営業してはいけないという、禁止を解除することができます。
届出とは違い、行政側からの「許可がおりました。」という返事があるまで、禁止は解除されません。
許可の具体例
運転免許の付与、風俗営業の許可等
特許の意味
特許の定義
国民が本来有していない特別の権利や法的地位等を与える行為と定義されています。
特許を簡単にまとめると、特定の人に対して新しい権利や法的地位を与えることをいいます。
つまり、本来は誰も出来ないことに対して特許があれば出来るようになるということになります。
例えば、
公有水面の埋め立ての免許などが特許にあたります。
公有水面(国が保有している海など)は泳ぐことは自由にできても、勝手に埋め立てることはできません。公有水面埋め立ての許可(特許)を受けることで、本来は出来ないはずの公有水面の埋め立てが出来るようになります。
もちろん帰化申請は、申請者が新しく日本人としての地位を手にすることになりますので、法律的には特許に該当します。
ちなみに、発明したものに対して与えられる、特許とは全く意味が違いますので、注意してください。
特許の具体例
公有水面の埋め立て免許、帰化申請
届出、許可、特許の申請における難易度の違いは?
一言でどの申請が難しいのかということは言うことはできませんが、(届出には現地調査があるものもありますし、許可にも要件が厳しいものがあります。)定義だけで考えると、特許における申請が難易度が高いように思われます。
定義から考えると、本来持っていない権利や地位を与えるものになりますので、難しいということは想像できます。
帰化の決定は法務大臣の裁量
帰化の許可・不許可は法務大臣の裁量によって決定されます。
裁量ということは、その解釈・適用について行政に判断・選択の余地が認められるということになります。
つまり、帰化においてはその許可・不許可については法務大臣の意思が大きく反映することになります。
単なる許可であれば要件を満たしていれば許可がおりますが、帰化においては法務大臣の裁量によって決められることになりますので、単純に帰化の要件を満たしていれば確実に日本国籍を取得できるということではありません。
したがって、帰化申請は決して簡単なものではなく、難易度は高いと考えるべきです。
まとめ
帰化の書類を法務局へ提出することは、帰化許可申請と呼ばれています。
普段の申請では、許可という言葉がよく使用されますが、実際には届出の場合や、特許の場合があります。
帰化申請における許可は特許にあたりますので、「本来持っていない権利や地位を与えられるものになるから、少し難しいのかな?」と考えておくと、個人で申請する場合も慎重に手続きを進めることができると思います。